接触型ドローンSKYGAUGEが変える、高所の板厚検査の常識

接触型ドローンSKYGAUGEが変える、高所の板厚検査の常識

ニュースの概要

日鉄物産は、カナダのSkygauge Roboticsが開発した非破壊検査用ドローン「SKYGAUGE」の紹介サイトを公開した。同社は国内の独占販売契約を持つ。このドローンは、飛びながら対象物に機体を押し当て、超音波で金属の厚みを測る点が特徴だ。壁面、斜面、天井、曲がった面でも、機体の向きと推力を細かく調整して接触を保つという。ロープで人が吊り下がる作業や、足場の組み立て、高所作業車の手配を省ける可能性がある。高い場所や危険な場所での点検を、安全かつ短い時間で進めたい現場に向けた提案といえる。

引用元: 日鉄物産、接触型の非破壊検査ドローン「SKYGAUGE」紹介サイトを公開(DRONE JOURNAL)

分析・見解

撮影から計測へ、ドローン点検が一段進む意味

これまでの点検用ドローンの主な仕事は、カメラで撮影することだった。ひび割れやさびを目で見つけるには便利だが、鉄の板がどれだけ薄くなったかまでは分からない。厚みを知るには、検査員が超音波の探触子(=音を当てて厚みを測る小型の道具)を、表面に直接当てる必要があった。

SKYGAUGEは、この「当てる」作業をドローンに任せる。見るだけの道具から、測る道具への転換である。点検の記録が写真から数値に変わるため、経年変化の比較がしやすくなる。

飛びながら押し当てる難しさと、制御技術の価値

空中の機体を壁に押し当て続けるのは、想像以上に難しい。押す力が強すぎれば跳ね返され、弱すぎれば音が伝わらない。風が吹けば姿勢も乱れる。しかも壁、天井、曲面では、機体にかかる重力や反力の向きがそれぞれ違う。

紹介サイトが強調する「姿勢と推進力の細かな制御」は、まさにこの課題への答えだ。プロペラの力を使って機体を壁に張り付け、安定した接触を保つ。この制御の質が、測定値の信頼性を左右する。性能を比べるときは、測定の再現性と、風のある日の成功率を確認したい。

対象は煙突、タンク、橋、船体など広い

厚みの測定が必要な設備は多い。石油や化学のタンク、煙突、プラント配管、鋼橋、船体、風力発電の塔などである。どれも腐食で板が薄くなると、事故に直結する。

従来は足場に数百万円、場合によってはそれ以上かかり、組み立てと解体で数日から数週間を要した。ロープアクセスは足場より安く済むが、作業員の安全確保が課題だ。ドローンが替わりになれば、費用と日数に加えて、墜落事故のリスクも減らせる。

日鉄物産が扱う意味と、残る課題

鉄鋼商社である日鉄物産が扱う点には意味がある。鉄鋼設備を持つ製造業や、プラント事業者との接点が厚いからだ。海外製の新技術は、国内での保守体制や安全基準への適合が普及の壁になりやすい。商社が窓口になれば、導入後の相談先が明確になる。

ただし課題もある。強風や雨天、電波の届きにくい鉄構造物の内部では運用が難しい。可燃性ガスが漂う場所では、防爆の仕様も求められる。万能ではなく、向く現場を見極める姿勢が必要だ。

ビジネスへの影響

点検費用の内訳を見直す好機

設備を持つ企業は、まず過去の点検費用を分解してみるとよい。足場や高所作業車、人件費、操業停止の損失のうち、ドローンで減らせるのはどの部分か。足場代が大きい設備ほど、導入の効果は出やすい。

まずは年1回の定期検査のうち、足場が必要な箇所だけを試験的に置き換える方法が現実的だ。従来手法の結果と並べて比べれば、社内の納得も得やすい。

導入前に確認したい三つのポイント

一つ目は、測定精度と記録の形式である。数値が報告書にそのまま使えるか、検査の資格を持つ人の立ち会いが要るかを確認したい。二つ目は、飛行に関する許可である。人口集中地区や工場敷地内では、手続きが変わる。三つ目は、故障時の対応だ。機体が壊れても、点検が止まらない体制をつくりたい。

外壁調査や太陽光パネル点検などでも、ドローン活用は広がっている。当サイトの関連ページも参考に、自社に近い事例を探してほしい。

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